最近よく目にしたり耳にするようになった「傾聴」。傾聴とは何なのか？分かりやすく解説するとともに読み方や使い方などをまとめました。
また傾聴について学んだり見聞きしている中で「共感」「承認」という言葉を多く目にします。
傾聴における「共感」「承認」とは何なのか？共感や承認の種類とともに、アドラー心理学の「３つの承認」について、さらに傾聴とコーチングの違いについても解説しています。
傾聴とは？
傾聴とは、相手の話を聴くことを意味します。ただ単に聴くだけではなく、相手の気持ちや思いを理解し、共感することが大切です。
傾聴をすることで、相手が自分の話を聞いてもらえたと感じ、より心を開いて話すことができます。
傾聴の読み方「けいちょう」
傾聴は「けいちょう」と読みます。
傾聴の意味
傾聴とは、相手の話に真剣に耳を傾け、理解しようとすることです。
言葉だけでなく、相手の表情や仕草、声のトーンなども注意深く観察し、相手の気持ちや思いを理解しようとすることも含まれます。
傾聴の使い方
「傾聴」という単語は、相手の話に真剣に耳を傾けることを表す言葉です。そのためビジネスシーンや日常生活の中で、相手の意見や感情を尊重し、理解しようとする態度を示す場合に使われます。
例えば、以下のような文脈で「傾聴」という単語が使われます。
- 「彼女は私の話を真剣に傾聴してくれて、とても心強かった」
- 「プレゼンの際には、相手のニーズに合わせた傾聴が重要です」
- 「傾聴を怠ってしまうと、相手との信頼関係が損なわれることがあります」
また、「傾聴」は、「聴き手が相手に対して積極的な関心を持ち、相手の話に耳を傾ける」という意味で使われますが、「受動的な聴き方」や「単に耳を傾けるだけ」というニュアンスを持つ言葉として使われることもあります。
例えば、「彼は相手の話をただ聞いているだけで、傾聴しているとは言えない」というように、ただ聞いているだけで相手の意図や感情を理解しようとしていない場合には、「傾聴」という言葉は適切ではありません。
傾聴の方法をわかりやすく解説
傾聴は、良好な人間関係を築くために非常に重要なスキルです。傾聴することで、相手に対する理解と共感を示すことができます。これによって、相手は自分が大切に思われ、自分の考えや感情が尊重されていると感じることができます。
さらに傾聴は職場やプライベートの場で役立つスキルです。相手に対する理解と共感を示し、信頼関係を築くことができます。自分自身も、相手に傾聴されることで、自分の考えや感情が尊重されていると感じることができます。
傾聴にはいくつかの方法があります。
まず、相手の話を遮らずに聴くことが大切です。また、相手の表情や仕草を観察することで、相手の気持ちや思いを理解することができます。
相手が話している内容に興味を持ち、質問や共感の言葉をかけることで、相手が自分の話を聞いてもらえたと感じ、より話しやすくなります。
傾聴するためには、次のようなことが必要です。
相手に注意を向ける
相手に向き合い、積極的に関心を示すことが重要です。目を合わせ、相手に向き合って話を聞きましょう。
相手に注意を向けるためには、次のような具体的な方法があります。
- 目を合わせる: 相手の目を見て、話を聞くことで、相手に対する関心や興味を示すことができます。ただし、相手によっては目を合わせることが苦手な人もいるため、相手の反応を見て判断しましょう。
- 体を向ける: 相手の方向に体を向けることで、相手に対する関心を示すことができます。また、体の向きが相手に向いていると、相手も自然と話しやすくなる場合があります。
- 話を遮らない: 相手が話している時には、自分が話を遮らないように注意しましょう。相手が話し終わるまで待つことで、相手に対する敬意を示すことができます。
- ボディランゲージを読む: 相手の表情や仕草、声のトーンなどを観察することで、相手の感情や意図を理解しようとする姿勢を示すことができます。
- 返答する: 相手が話した内容に対して、適切な返答をすることで、相手に対する理解や共感を示すことができます。
これらの方法を実践することで、相手に対する関心や敬意を示し、傾聴の環境を作り出すことができます。
聴く姿勢を取る
傾聴において、聴く姿勢を取ることは非常に重要です。
うなずいたり、相手の話を繰り返すことで、相手が話を続けやすい環境を作り出しましょう。
傾聴における聴く姿勢を取るための具体的な方法をいくつか紹介します。
- 無言で聴く：相手が話している間は、自分自身の意見や話を妨げることなく、黙って聴くことが大切です。相手に対して、自分自身の時間や存在感を優先させないようにするためにも、相手が話し終わるまで待ちましょう。
- 肯定的な反応を示す：相手の話を肯定的な反応で返すことで、相手に対して共感や理解を示すことができます。例えば、相手が話している内容に同意する場合には、相手の発言内容に対して「そうだね」といった肯定的な反応を返すことができます。
- 話の流れを追う：相手が話している内容に集中し、話の流れを追うことが大切です。自分自身の意見や思い出話を持ち出すことは控え、相手の話を最優先に聴くことが大切です。
- 感情に共感する：相手が感情を含んで話している場合には、相手の感情に共感しましょう。例えば、相手が悲しんでいる場合には、相手の悲しみに寄り添うような言葉をかけることができます。
傾聴における聴く姿勢を取るための具体的な方法です。相手に対して関心や理解を示すことで、相手との信頼関係を築くことができます。
質問をする
相手の話を深めるために、質問をすることも大切です。ただし、質問の仕方やタイミングにも注意が必要です。
質問によって話の深掘りや話し手の気持ちを理解することができ、相手との信頼関係を築くことができます。傾聴の際に話し手に質問する具体的な方法をいくつか紹介します。
- 開放的な質問をする：開放的な質問とは、相手にとって自由に答えることができる質問のことです。相手が自分の考えをより深く掘り下げることができ、話がより具体的になることがあります。例えば、「それはどのように感じられましたか？」や「どのようにしてその結論に至りましたか？」などが開放的な質問の例です。
- 肯定的な質問をする：肯定的な質問は、相手に肯定的なフィードバックを与える質問のことです。相手が自分の話に自信を持っていると感じ、会話がスムーズに進むことがあります。例えば、「それは素晴らしいアイデアですね。どのようにして思いついたんですか？」や「それは本当に興味深いですね。それについてもっと聞かせてください」といった質問が肯定的な質問の例です。
- フォローアップ質問をする：フォローアップ質問は、相手の発言内容に対して掘り下げる質問のことです。相手が話した内容について、より深く理解することができます。例えば、相手が「会社でストレスを感じている」と言った場合、「具体的にどのようなことがストレスを感じさせるのですか？」や「どのようにしてストレスを軽減しようと思っていますか？」といったフォローアップ質問をすることができます。
相手の話に興味を持ち、相手にとって自由に話せる環境を提供することが大切です。また、相手に対して適切な質問をすることで、相手との信頼関係を築くことができます。
相手が話している内容について、詳しく知りたい点や、疑問に思った点があれば、適切なタイミングで質問しましょう。
相手にとって、自分の話が理解されていると感じることが大切なので、質問によって相手の発言内容を詳しく理解することができます。
批判・アドバイスはしない
相手の話に対して、すぐに批判やアドバイスをするのは避けましょう。相手の話をじっくり聞いた上で、必要に応じてアドバイスをするようにしましょう。
傾聴において、批判やアドバイスは控えることが望ましいとされている理由については次の通りです。
- 相手の感情を尊重するため：相手が話し手として自分の思いを吐露する場合、それは自分の感情や状況を共有したいという気持ちからです。そのため、話を聞く側が適切な反応を示すことが必要です。批判やアドバイスをすることは、相手の話を打ち消すことにつながり、話をしたいという気持ちを奪ってしまいます。
- 話の流れを乱さないため：批判やアドバイスをすることで、話の流れが途切れることがあります。話し手が自分の話を終える前に中断してしまうと、話の本質が伝わらないまま終わってしまうことがあります。そのため、話を途中で中断せずに最後まで聴くことが重要です。
- 話し手の自己探究を促すため：相手が話すことで、自己探究をする機会を提供することができます。批判やアドバイスをすることで、話し手が自分で考える機会を奪ってしまうことがあります。相手が自分で問題を解決できるように、話し手自身が考えることが重要です。
以上のように、批判やアドバイスをすることは相手の気持ちを尊重できず、話し手自身が問題を解決する機会を奪うことになります。話を聴き、相手の感情や思いを共有することが大切です。
傾聴がもたらす効果
傾聴をすることで、相手に対する信頼感や好感度が高まります。相手を尊重し、理解することで、より良好な人間関係を築くことができます。
また、相手が自分の話を聞いてもらえたと感じ、ストレスや不安を解消することができるため、ストレスフルな状況下でも相手とのコミュニケーションが円滑に行えます。
傾聴の注意点
傾聴にはいくつかの注意点があります。まず、相手の話を遮らずに聴くことが大切です。また、相手の気持ちを理解することが目的であるため、自分自身の意見やアドバイスを先に述べることは避けるべきです。
また、相手が話している内容に興味を持つことが大切です。相手の話に興味を持ち、共感することができない場合、相手は話し続けることができなくなる可能性があります。また、相手に対して過剰な期待を持ち、自分の考えや意見を押し付けることも避けるべきです。
傾聴の練習方法
傾聴は、慣れや習慣が必要なスキルです。以下に、傾聴を練習する方法を紹介します。
- 相手の話に集中する 話し手に全力で集中し、目を見て話しを聴きます。
- 聞いたことを確認する 相手が話していることを確認するために、質問や繰り返しを行います。
- 逆説法を使って相手を励ます 相手が話す内容に対して、逆説法を使って相手を励ますことで、相手が話しやすくなります。
- 話し手の感情を察知する 話し手の表情や仕草などから、話し手の感情を察知し、共感することで、より深いコミュニケーションが可能になります。
傾聴に必要な「共感」とは？
共感は相手の感情や状況に対して、自分自身も同じように感じることを指します。共感することで、相手が話していることに対して理解を示し、相手に対して共感や支援を示すことができます。
感情的な共感
相手の感情に共感し、相手が感じていることを理解しようとすること。相手の感情に寄り添い、共感することで、相手が自分自身を認められたり、受け入れられたりすることがある。
認知的な共感
相手の立場や考え方に共感すること。相手の状況を理解し、相手の立場や視点に立って考えることで、相手をサポートすることができる。
行動的な共感
相手の状況に適した行動をとること。相手の気持ちに寄り添い、相手に必要な支援を提供することで、相手が自分自身を受け入れ、自己決定をすることを促すことができる。
傾聴において、これらの共感の種類を適切に使い分けることで、相手を深く理解し、サポートすることができます。
承認とは？種類についても
承認は、相手の言動や感情に対して肯定的な評価を示すことを指します。承認することで、相手に対して自分自身が尊重され、自己肯定感を高めることができます。
ただし、承認が過剰になりすぎると、相手が自分自身を肯定することができず、依存的な関係になる可能性があるため注意が必要です。
次に紹介するのは傾聴における承認の種類の一例です。相手の話を聞く上で、適切な承認の種類を使い分けることが重要です。
肯定的な承認
相手の話を肯定することで、相手が話を続ける自信を与えます。例えば、「あなたの話、よくわかりました」というフレーズは、相手が話していることを肯定する表現です。
認知的な承認
相手の気持ちや感情を受け止め、理解することで、相手の立場に立って話を聞いたことを示します。例えば、「そういう気持ちになること、わかります」というフレーズは、相手の感情を認知する表現です。
放置的な承認
相手の気持ちや意見に同意しなくても、相手の意見を尊重し、自分の意見を押し付けないようにすることで、相手を尊重する姿勢を示します。例えば、「なるほど、そういう意見もあるんですね」というフレーズは、相手の意見を尊重する表現です。
調整的な承認
相手の話を肯定しながら、同時に相手の考え方を変えるための調整を行います。例えば、「あなたの意見はとても大切ですが、もう少し別の角度から考えてみてはどうでしょうか？」というフレーズは、相手の意見を認めながら、別のアプローチを提案する表現です。
アドラー心理学３つの承認
アドラー心理学における3つの承認とは、次の通りです。
- 承認された存在 – 他者から自分自身が認められ、受け入れられたと感じること。
- 承認された行動 – 自分自身が取った行動が、他者から認められたと感じること。
- 承認された思考 – 自分自身が持つ思考や信念が、他者から認められたと感じること。
アドラー心理学では、これらの承認を得ることが、個人の自己肯定感を高め、自己実現を促すために重要だとされています。
承認された存在
アドラー心理学における「承認された存在」とは、人が自分自身を肯定的に認め、自分自身を尊重し、自分自身に価値を見出すことを指します。
アドラー心理学では、人は誕生時から自分自身を肯定することができず、社会的な環境からの評価や承認を求めるようになります。
しかし、外部からの承認に依存することは、自分自身の価値を見出すことができず、他人の意見や期待に縛られることにつながるため、自己承認が重要視されます。
自己承認は、自分自身の能力や価値観を肯定することから始まり、自分自身を受け入れ、自分自身に対して責任を持ち、自分自身を成長させることに繋がります。
アドラー心理学の承認された存在は、自分自身を愛し、自分自身に尊重を払い、自分自身を肯定することができることを示します。
承認された行動
アドラー心理学における「承認された行動」とは、社会的に望ましい行動、つまり自分自身の目的達成や他人への貢献につながる行動のことを指します。
これは、自己実現に向けて自分自身の能力を高め、自分や周りの人々にとってプラスの影響を与えるために必要な行動であり、自分自身を肯定し、自分自身を信じることができるようになるためにも重要です。
アドラー心理学では、承認された行動は、「社会的利益」を生み出すと考えられています。つまり、自分自身が成功し、他人に貢献することで、社会全体がより良くなるという考え方です。承認された行動をとることで、自己実現に向けて進むことができるとされています。
また、自己実現に向けて進むことができることで、自分自身を肯定することができ、自信を持って自分自身を表現することができるようになるというメリットもあります。
承認された思考
アドラー心理学では、承認された思考として、「共同体意識」が挙げられます。
共同体意識とは、自分自身が含まれる社会的な共同体やグループ全体を考え、その共同体やグループの利益や幸福を追求する思考です。
例えば、個人的な成功や利益追求よりも、家族や友人、仕事のチームや社会全体の利益を重視する考え方が含まれます。
共同体意識を持つことで、自分自身の幸福や成功だけでなく、周りの人や社会全体の幸福や成功に貢献することができるとされています。
アドラー心理学では、このような共同体意識を持つことが、個人的な幸福感や満足感を高める一つの方法であると考えられています。
コーチング「傾聴・共感・承認」とは？
コーチングでは、「傾聴・共感・承認」はクライアントが自己解決力を発揮するための重要なコミュニケーションスキルです。
また傾聴とコーチングは共通点も多いので、コーチングと傾聴の違いについてもまとめました。
傾聴
傾聴は、相手の話を注意深く聞くことを指します。
コーチは、クライアントが話をしている間に、完全に聞き入ることが重要です。これにより、クライアントが認知していることや、感情、思考、目標などの情報を収集できます。
共感
共感は、相手の立場に立って、相手の感情や状況に共感することを指します。
コーチは、クライアントに対して、自分自身がクライアントの立場になり、クライアントが経験している感情や状況に共感することが大切です。これにより、クライアントはコーチとの信頼関係を築くことができ、より良い解決策を見つけることができます。
承認
承認は、相手の感情や状況に対して、肯定的な態度を示すことを指します。
コーチは、クライアントの感情や状況について肯定的なコメントをし、クライアントの行動や決定について肯定的なフィードバックを提供することが重要です。これにより、クライアントは自信を持って自己解決力を発揮し、より良い結果を生み出すことができます。
コーチングと傾聴の違いは？
コーチングと傾聴は、両方とも相手に注目して、意思疎通を促進する方法ですが、目的やアプローチに違いがあります。
傾聴は、話を聞くことに焦点を当てたコミュニケーションの方法であり、相手の感情や考えを理解しようとするものです。傾聴は、相手の話を受け止め、共感し、理解するために使用されますが、解決策やアドバイスを提供することは目的ではありません。
一方、コーチングは、相手の目標達成をサポートすることに焦点を当てたプロセスであり、自己発見と自己成長を促進するために使用されます。コーチングでは、クライアントとコーチが共同で行動計画を作成し、アクションを促進することが目的です。
したがって、傾聴は相手の話を理解することに焦点を当てたコミュニケーションの方法であり、コーチングは目標達成を促進するためのプロセスであると言えます。
まとめ：傾聴とは？わかりやすく要約！
傾聴についての内容を要点５つにまとめると次のようになります。
- 傾聴とは、相手の話を理解するために注意深く聞くことである。
- 傾聴においては、相手の話に集中するために、話し手と目を合わせ、聴き手としての姿勢をとることが大切である。
- 傾聴においては、質問を通じて話し手の話を促すことができるが、相手の感情や話の流れを妨げないように注意する必要がある。
- 傾聴においては、批判やアドバイスをすることは避け、相手の話に共感し、話し手が自己探究を行えるようにサポートすることが重要である。
- 傾聴は、相手とのコミュニケーションを深め、相手の気持ちや考えを理解するために役立つ。
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