傾聴がうまくいかないのは「能力不足」ではない
傾聴が難しい。
ちゃんと聞いているつもりなのに、うまくいかない。
そう感じている人は少なくありません。
ですが多くの場合、
それは向き不向きや性格の問題ではありません。
傾聴がうまくいかない人には、
いくつか共通する「無意識の癖」があります。
まずは、その癖に気づくことが大切です。
① 相手の話を「理解しよう」としすぎている
理解=正解を探す姿勢になっている
傾聴が苦手な人ほど、
「ちゃんと理解しなければ」と思っています。
話の筋は合っているか。
原因はどこにあるのか。
そうやって頭の中で整理を始めると、
相手の話を“分析対象”として聞く状態になります。
その瞬間、
相手との距離は少しずつ離れていきます。
相手は「理解」より「居てもらう」ことを求めている
多くの場合、
話している本人も答えを持っていません。
ただ、
今の状態を誰かに置いておきたいだけです。
理解しようとしなくていい。
整理しなくていい。
そこに居続けることが、
傾聴の本質です。
② 話を良い方向に持っていこうとする
無意識の「立て直し癖」
「でも、こう考えたら前向きだよね」
「悪いことばかりじゃないよ」
こうした言葉は、
優しさから出ていることがほとんどです。
しかし、
傾聴の場面では逆効果になることがあります。
感情は途中で止められると残る
人の感情は、
最後まで出し切らないと消えません。
途中で方向修正されると、
「まだそこじゃない」という違和感が残ります。
傾聴では、
良い方向に導く必要はありません。
話し手が自分で辿り着くまで、
横に居ることが大切です。
③ 沈黙を怖がってしまう
沈黙=失敗だと思っている
会話が止まると、
何か言わなければと焦ってしまう。
この感覚を持っている人は、
とても多いです。
しかし傾聴において、
沈黙は失敗ではありません。
沈黙は「内側で考えている時間」
相手が黙ったとき、
頭の中では言葉を探しています。
そこにすぐ言葉を足すと、
思考が中断されてしまいます。
傾聴では、
沈黙も会話の一部です。
何も言わずに待てることは、
大きな信頼のサインになります。
④ 自分が役に立とうとしすぎている
「何か返さなきゃ」という義務感
傾聴がうまくいかない人ほど、
「ちゃんと返さなきゃ」と思っています。
気の利いた言葉。
納得できる助言。
ですが傾聴において、
価値は返答の中身ではありません。
役に立たなくても、意味はある
話すことで、
相手は自分の状態を確認しています。
聞いてもらえたという事実そのものが、
心を落ち着かせます。
何かを与えなくても、
すでに十分役に立っています。
⑤ 相手の感情に引きずられてしまう
共感しすぎて疲れてしまう
相手が苦しそうだと、
同じ感情を背負ってしまう。
これは共感力が高い人ほど起こりやすい状態です。
しかし、
感情移入しすぎると、傾聴は続きません。
傾聴は「一緒に沈むこと」ではない
傾聴は、
相手の感情を感じ取ることではありません。
相手の感情が存在していることを、
そのまま認めることです。
距離を保てるからこそ、
長く、安定して聞き続けられます。
傾聴がうまくいかない人ほど、真面目
傾聴が難しいと感じる人は、
たいてい一生懸命です。
ちゃんと聞こう。
役に立とう。
その気持ちが、
知らないうちに力みになっています。
傾聴は、
何かを「する」技術ではありません。
何かを「しない」姿勢です。
直そうとしない。
急がせない。
自分を入れすぎない。
それだけで、
傾聴は自然に機能し始めます。
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