傾聴している「つもり」が逆効果になる理由
「ちゃんと聞いているはずなのに、なぜか距離を感じられる」
「良かれと思って対応したのに、相手が黙ってしまった」
こうしたすれ違いは、傾聴そのものが間違っているというより、
“傾聴しているつもりの行動”が逆効果になっていることが原因で起こります。
ここでは、無意識にやってしまいがちなNG行動を具体的に見ていきます。
傾聴のつもりでやりがちなNG行動
共感の言葉を急ぎすぎる
「それはつらかったね」
「わかるよ、その気持ち」
一見すると共感的ですが、タイミングが早すぎると逆効果になることがあります。
相手がまだ気持ちを言語化しきれていない段階で共感されると、
「もう話は終わり?」と感じさせてしまうことがあるからです。
傾聴では、共感よりもまず「話し切ってもらうこと」が大切です。
相づちが多すぎる・大げさすぎる
うなずきや相づちは重要ですが、
頻度が多すぎたり、大げさすぎたりすると注意が必要です。
「うんうん」「そうそう」「それでそれで」と続くと、
相手は話すことよりも反応を気にし始めてしまいます。
結果として、
安心して話す場ではなく、反応を求められる場になってしまいます。
話を整理しすぎてしまう
「つまりこういうことだよね?」
「要するに〇〇が問題なんだよね」
理解しているつもりで要約する行為も、
実は傾聴を止めてしまうことがあります。
相手はまだ混乱している段階なのに、
整理された言葉を返されることで、
「ちゃんと伝わっていない」と感じることがあります。
傾聴では、相手の混乱ごと受け止める姿勢が重要です。
ポジティブに変換しようとする
「でも前向きに考えよう」
「その経験もきっと意味があるよ」
励ましのつもりでも、
相手の気持ちを軽く扱っているように伝わることがあります。
特に落ち込んでいる人にとっては、
ポジティブな言葉は「理解されていないサイン」になりやすいものです。
質問しすぎてしまう
「それはいつの話?」
「相手はどういう人?」
「具体的には?」
理解しようとする姿勢自体は大切ですが、
質問が多すぎると尋問のように感じさせてしまいます。
傾聴では、
相手が話したくなったことだけを拾うくらいの距離感がちょうど良い場合もあります。
なぜこれらの行動をしてしまうのか
「役に立ちたい」という気持ちが強すぎる
多くのNG行動の根底には、
「何かしてあげたい」「力になりたい」という善意があります。
しかし傾聴では、
行動することよりも、そこに居続けることが価値になります。
沈黙や感情の揺れに耐えられない
相手が黙ったり、言葉に詰まったりすると、
不安になって何か言いたくなることがあります。
その不安を埋めるために、
共感・整理・励まし・質問を急いでしまうのです。
しかし、傾聴において沈黙は失敗ではありません。
本当の傾聴に近づくための視点
「何もしない」を選ぶ勇気を持つ
傾聴では、
あえて言葉を足さない選択が最善になることがあります。
相手の話が止まっても、
すぐに埋めようとせず、少し待ってみる。
それだけで、相手が自分の内側に戻り、
本音を続けてくれることがあります。
理解しようとするより「受け取る」意識を持つ
理解しなければ、分からなければ、と思うほど、
人は頭で会話をしてしまいます。
傾聴では、
正確に理解することよりも、
相手の言葉を否定せず受け取ることが大切です。
傾聴は減点方式で考えるとうまくいく
何か特別なスキルを足そうとするより、
逆効果になりやすい行動を一つ減らす。
それだけで、
相手は「この人は話しやすい」と感じるようになります。
傾聴はテクニックではなく、
相手のペースを尊重する態度の積み重ねです。
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